ガンバノン スコルージ 作:野沢プロト氏 |
遠い、遠い世界。スペース・ランという世界があった。
スペース・ラン暦645年。
アルファ星系第二惑星スペース・ランより およそ1億数千万キロ太陽から離れた小惑星帯に 首都「コグリョ」を構える超カルト国家アランデスは 将軍メリヨンを崇拝させる恐怖政治を続けていたが、 長い鎖国、スペース・ランからの経済制裁により滅亡寸前だった。
科学者と名乗る、出身国不明の男ゼカリヤは、ある日この国を訪れ 何らかの野望のため、メリヨンの側近として仕えはじめる。
一方スペース・ランに住む少年パイロット・カンタ=シーワレは、 過去に大きな功績があった自分達への、世間の冷たい風当たりに閉口し、 同時に彼らの強力な愛機を持て余していた。
CTを博物館に明け渡すという話まで出掛かっていたその日、 アランデスからの亡命者が旧式のCT、33式に乗って 基地の近くまで逃げてくるという事件が起きる。
カンタが「宇宙の楽園」アランデスからの追っ手を撃墜し、 亡命者を助けた所、それはミユキ=ショーリンジと名乗る少女だった。
ミユキはカンタにかの国の危険性と、 かの国が必死に探しているという小惑星帯の黄金の話を聞かせる。 半信半疑ではあったが、カンタは過去の旗艦ケラトロの仲間に話を持ち掛け、 宇宙に上がる事になる。
衝突するケラトロとアランデス。今、宇宙の片隅で、 壮大なお宝争奪戦が繰り広げられようとしていた! |
原作DLページ 辞典登録データDL |
主要登場人物 |
 |
カンタ=シーワレ |
ガンバノンシリーズの主人公。 スペース・ラン生まれ。
これといってとりえのないパッとしない 少年だったが、小学生の時にCTでの 戦闘に巻き込まれ、33式に乗り込んで戦った所、 たちまちCTパイロットとしての素質に目覚める。
その後も成り行きで仲間達と戦いを乗り越えてゆき、 何の悩みもなくことごとく快進撃を続け、しまいには 「コア」を爆破し、宇宙政府の悪党を殲滅する。
それから3年。ある日突然の騒ぎで出会った少女 ミユキに運命を翻弄されることになる。
基本的には、真面目で優しい正義漢なのだが、 意外といい加減な思考でこれといった ポリシーもなく、関心のない事に手を出すのは 気が進まない。また日本人と違って、 盲目的な人命尊重の教えも受けていないので、 よくある「殺しをしない、悩める主人公」像も 期待しないほうがいい。 |
 |
ミユキ= ショーリンジ |
ある意味、影の主人公。 スペース・ラン生まれ。
宇宙のカルト国家アランデスに拉致され、 お風呂で将軍様の背中流しをしていたが、 33式を強奪して自力で逃亡。 行き掛かり上カンタに助けられる。
ケラトロの面々にアランデスの危険を訴え、 巧みに戦わせるようけしかける。
父親が他でもない「ガンバノン計画」の 第一人者、ショーリンジ教授ということも あってか、典型的な機械おたくで、 趣味嗜好も男の子向きに偏っている。
それだけならまだしも、なまじ熟練した メカニックの腕前を持っているのを 良い事に、ケラトロのメカを好き放題、 趣味に合わせて改造している。
やや天然ボケ、人の話を聞かない自己中で、 周囲に頭痛の種をふりまく無邪気ぶり。 また女の子のくせに妙なヒーロー願望が強く、 しばしば意味不明な発言も。 |
 |
ヨーコ= サンゲンヂャヤ |
たいていの局面で、中立的な立場にいる人物。
家族もなく若くして自立している所を見ると、 戦災孤児なのかもしれない。
どういう経緯で所持したかは不明だが、 強力な接近戦用CTハイヤトダイクタを 天性のセンスで乗りこなし、 傭兵まがいの危険な仕事や 闘技場で荒稼ぎを続けていたが、 スペース・ランでの闘技が禁止されてからは、 宇宙の闇でひっそりと開かれる セメントマッチに身を投じるように。
世の中を生き残るには力こそ全て、 と考えるニヒリストだが、だからこそ 周囲で起きる理不尽に振り回された時、 激しい憤りを感じずにはいられない。 |
 |
セシルローズ= スカーレット |
母フェイ、父ランスロットという、 CTパイロットとしては当時最高の 遺伝子を用いて生み出された試験管ベビーで、 「戦争時代の落とし子」と呼ばれている。
宇宙国家のどこかが始めた、 ミューザーに対抗するためのCTパイロット 純粋培養計画だったが、 まもなく戦争は終わってしまう。
時を経て彼女らは科学者ゼカリヤにひきとられるが、 そこで強いられる生活も 実験動物のようなものだった。 そのせいもあって人に心を開かない 無感情な少女として育つ。
が、無感情そうなのは外面だけであって、 「ウォール」を使いこなすのに必要な 基本的感情の高ぶりや、女の子らしい 優しさは内に秘めている。
なお、生み出された真の理由として、 「修羅界」を呼び起こすためという説が あったが真相は不明。 |
 |
ゼカリヤ= ベル=バベル |
テロ支援国家とも一部で呼ばれる 某国出身の科学者。推定30歳前後。
アランデスに単身乗り込み、 メリヨンに仕えると言い出すが、 真の狙いはアランデスを最強の軍事国家と化し、 メリヨンを傀儡に祭り上げて 国全体を牛耳る事であった。 暴君の夢物語としか見られない黄金探しの裏に、 「修羅界」など異次元の大きな力が得られる チャンスを見たのかもしれない。
最終的には、アランデスの戦力を 抑止力にすることで、スペース・ラン圏の 人類全ての平和を築く事を夢見ていた。 |
主要登場機体 |

|
33式多目的CT ガル |
型番:CT-33 全長:約17m 本体重量:約50t 全備重量:約80t 製造年:スペース・ラン暦633年 開発元:地球観測隊
スペース・ラン暦633年に 地球観測隊によって設計・開発され、 その後長きに渡って実戦投入された 多目的型コスモトロン駆動式兵器。
これまで無かった人型兵器の登場は、 その汎用性の高さから従来の戦車や 攻撃機の需要を一気に下げ、以後 戦闘の方式も大きく見直される事になる。
この手の兵器の弱点である被弾率の高さを 考慮した結果、コクピットの周囲を幾重にも フレームで包み込み、搭乗者の生存性を 最重視するというCTの基本的コンセプトが この機体で既に確立されており、 ひいてはGの負担の軽減にも役立っている。
下手な中古車より安価な程 コストパフォーマンスに優れ、 次々と性能で勝る新型後継機が 投入されたにも関わらず、 未だに現役を退いていない、 名機といえば名機である。
だが大量生産の性か、ろくに整備も 行き届いていない粗悪品が 多く出回った事もあり、性能面で 信頼性があるとは言い難い。
主武装は先端に重金属粒子砲をつけた 重厚なシールドビームガンで、 この攻守一体の武装の設計思想が、 後のエクスターに受け継がれた事は、 外見からも一目瞭然である。
ミューザーのパイロット達に馴染みが深く、 主に「33式」と呼ばれている。 |

|
エクスター |
型番:CTG-42 全長:約20m 本体重量:約60t 全備重量:約120t 製造年:スペース・ラン暦642年 開発元:ミューザー
カンタ=シーワレの愛機。
泥沼化しつつある宇宙政府と 地球観測隊との戦争の最中、 33式ガルの設計思想を 色濃く受け継いで開発され、 強襲艦ケラトロによって運用された強襲用CT。 修羅場ゆえの急造の上、コスト度外視で 設計されたため、1機、多くても2機しか 作られた記録はない。
左右のベイル裏に任意の武器を仕込む事が出来、 専用のライフルは戦艦の主砲と同等の ヘルファイアを用いている。 ただでさえ無茶な重火力重装甲で、重力下での 戦闘に対応し辛くなったにも関わらず、 後にミユキ=ショーリンジによって、 更に欲ばった超武装が施される。 |
.bmp)
|
エクスター (飛行形態) |
型番:CTG-42 全長:約22m 本体重量:約60t 全備重量:約120t 製造年:スペース・ラン暦642年 開発元:ミューザー
エクスターが空気抵抗の少ない 格好に変化して、飛行能力を得た状態。
ガルシリーズにもこれと同パターンの変形を する型があり、エクスターを正当な後継機、 又は完成形と呼んでも良さそうだ。 |

|
グレートガンバノン |
型番:CTG-45V 全長:約18m 本体重量:約40t 全備重量:約50t 製造年:スペース・ラン暦645年 開発元:アランデス
アランデスの科学者ゼカリヤが 「ガンバノン計画」に基づき、 メリヨン将軍専用機として開発した 3体のうちの最後の1体。
任意の戦闘プログラムを組み込むCTの 拡張性をより特化させたもので、 特にそのボディそのものを武器として 戦う格闘戦において、プログラム次第で 無限の可能性を発揮する。
小惑星「シッラーギ」での争奪戦の末 カンタが奪取し、その場で命名される。 後にミユキがカンタの格闘技をトレースし、 カラテ・戦闘プログラムとして インストールさせた。
ケラトロの所持するCTでモルミレズ装甲を 備えているのは、後にも先にも この1体だけである。 |

|
ハイヤトダイクタ |
型番:不明 全長:約18m 本体重量:約40t 全備重量:約90t 製造年:不明 開発元:ハンドメイド
古に伝わる、東洋の闘士の名を 冠した接近戦用CT。 ヨーコが命の次に大事にしている愛機で、 どういった経緯で、誰の手によって 作られたか定かではないが、 同じ機体が2つと無い事だけは確か。
最大の特徴はなんといっても、 本体よりも重量のある巨大剣 「竜殺し」を両手で持ち、 振り回すことができる関節部の柔軟性で、 これこそがただひとつ、機体設計の コンセプトだったと思われる。
おかげで竜殺しの破壊力は絶大、 逆に言えばそれ以外はこれといって 長所のない凡庸な機体だが、そこは パイロットの腕でカバーしているらしい。 |