魔物や、それに準じるほどの明確な敵対意図を持った者と遭遇した場合、多くは戦闘で解決する事になるでしょう。
ここでは、戦闘ルールを記載していきます。
エネミーの識別
戦闘開始時、エネミーを直視できる状態にあれば、PCはエネミーの識別を行う事ができます。
エネミーの【希少度】を目標値に【知力】判定を行い、成功すればエネミーの能力がPLに開示されます。
(この判定に失敗しても、『詳しい能力を知らない』だけで、『エネミーの存在自体を知らない』とはなりません)
戦闘の手順
本作の戦闘は、単純に【先制力】順に、1ターンに一人一回ずつ行動します。
また、前衛・後衛といった隊列の概念はありません。
行動手番
行動手番が回って来たキャラクターは、下記のいずれかの行動を取ることができます。
・武器による攻撃を行う
・魔法を使用する
・使用タイミング『主行動』のスキルを使用する
・分類『投具』または『魔術品』のアイテムを使用する
・[拘束]を解除する
・行動を遅延させる
・戦闘から逃走する
また、下記の行動は、上記のいずれかの行動の直前に行う事が可能です。
・装備中の武器を変更する
白兵攻撃
攻撃側は装備中の武器による補正を加味した【命中力】で、被攻撃者は【回避力】でそれぞれ一般行為判定を行います。
これに攻撃側が勝利すると、攻撃が命中したとみなしてダメージを与えます。
その際のダメージ量は、(攻撃側の【攻撃力】)-(非攻撃側の【防御力】)で単純に算出します。
ただし、攻撃側の【攻撃力】が非攻撃側の【防御力】以下であった場合は、1ダメージだけ与えます。
なお、攻撃側の判定のダイスの目が、装備中の武器の【CRT】以上で、かつ攻撃が命中した場合、
その攻撃は『クリティカルヒット』となり、ダメージが増加します。
増加するダメージの量は、一律で3です。
またこの際、再び2D6を振り、出目合計が【CRT】以上だった場合は二重に『クリティカルヒット』となり、
さらにダメージ量が+3されます。
(このため、理論上、ダメージは無限に増加し得ます)
なお、攻撃対象の【防御力】を差し引いた後の値…すなわち攻撃対象の【HP】減少量を『実ダメージ』と呼びます。
魔法の使用
通常の魔法行使の手順で、魔法をひとつ使用する事ができます。
主行動スキルの使用
使用タイミングが『主行動』となっているスキルを使用し、その効果を発現します。
投具・魔術品の使用
分類が『投具』、または『魔術品』のうち戦闘中に効果のあるアイテムを使用します。
『投具』を使おうとする者は【器用】で、これを回避しようとする者は【回避力】で判定を行います。
『魔術品』を使おうとする者は【知力】で、これを回避しようとする者は【耐力】で判定を行います。
使用者側がこの対抗判定に勝利した場合、使用したアイテムは効果を発揮します。
また、対抗判定の勝敗に関係なく、使用したアイテムは使用可能回数を消費します。
拘束の解除
後述の状態異常[拘束]は、主行動を消費する事で確実に解除する事ができます。
行動遅延
行動順を、本来の順番より遅いタイミングまで遅らせる事を『行動遅延』と呼びます。
本来の順番より遅いタイミングであれば、どのタイミングで行動しても構いません。
例えば、先制力10のキャラクターは、先制力9の敵が複数いる際、先制力9の敵Aが行動した直後、
先制力9の敵Bが行動する前に割り込んで行動しても構いません。
敵の攻撃を受けてから回復をする、味方の強化魔法を待ってから攻撃するなどに有用です。
ただし、行動遅延を行ったキャラクターは、
白兵攻撃系の主行動スキルは使用できません。
逃走
戦闘に参加している全ての敵と【敏捷】で対抗判定を行います。
(【敏捷】のデータがない敵の場合、【回避力】で代用してください)
これにおいて全ての敵に勝利した場合、戦闘から離脱する事ができます。
逃走後の扱いに関してはGMが決定してください。
状態異常
戦闘中に限った事ではありませんが、キャラクターは何らかの『状態異常』を受ける事があります。
状態異常の影響下にあるキャラクターは、弱体化や行動の制限を受けます。下記に、それらの種類を記載します。
名称 |
解説 |
効果 |
自然回復方法 |
[催淫] |
媚薬性の毒などにより 性欲が過剰に刺激されている状態。
|
あらゆる行動の達成値に-1を受ける。 |
・セッション終了時 |
[拘束] |
縄や触手、粘りつくゲル状物質などで 体の自由を奪われている状態。 |
【命中力】【回避力】【敏捷】【器用】の判定に -1を受ける。 |
・戦闘終了時 |
[変容] |
瘴気や毒の影響により、体の一部の肥大化や 異性の器官が生えたり等している状態。 |
【命中力】【回避力】判定が、5以下の出目で 自動失敗するようになる。 |
・セッション終了時 |
[恐怖] |
心を乱され、魔法の行使に必要な 精神集中が妨害されている状態。 |
【魔力】判定が、5以下の出目で 自動失敗するようになる。 また、【耐力】に-1を受ける。 |
・セッション終了時 |
[失神] |
ごく短い時間だけ意識を失った状態。 |
【回避力】が0になる。 |
・戦闘中に自分の手番が回ってきた (その手番で行動可能) ・1以上の実ダメージを受けた ・戦闘終了時 |
[睡眠] |
強い眠気に襲われて行動できない状態。 |
自分の手番での行動が不能になる。 また、【回避力】が0になる。 |
・1以上の実ダメージを受けた ・戦闘中に自分の手番が回ってきた (その手番での行動は不可) ・戦闘終了時 |
また、状態異常を受けた際には、状態異常を付与した判定の達成値を記録してください。
これを「状態異常強度」と呼び、魔法などで回復する際の目標値になります。
なお、状態異常付与時に"絶対成功"が出た場合、ダイスの出目を12とみなして状態異常強度を算出します。
戦闘不能
【HP】が0になったキャラクターは戦闘不能となります。
NPCであれば、戦闘不能になったキャラクターの生死はGMが決定します。
PCであれば即座に死亡する事はありませんが、気絶等により戦闘に参加できなくなります。
戦闘不能からの回復は、【HP】を回復させた上で10分程度の時間の安静を保って自然回復を待つか、
即座に戦闘不能状態から回復させられる魔法・アイテムなどの手段を用いる必要があります。
なお、エネミーの【HP】が0になった際、原則としてそのエネミーは死亡しますが、
プレイヤーが明示的に『殺さない』事を宣言して倒す事も可能です。その場合、対象は確実に生存します。
逆に、エネミーが『死なない』事は、GMが一方的に決定する事もできます。
エネミーの行動ルーチン
エネミーは知能によって行動ルーチンが変わります。
知能が『本能のみ』『動物並み』『低め』の者は、前回自分が行動した直後〜今回自分が行動する直前までの間に
自分に対して白兵攻撃を行った者がいれば、その者を優先的に攻撃しようとします。
(該当する者が複数いる場合、その中からランダムで対象を選び攻撃します)
知能が『人間並み』であっても、考え方が短絡的な者はこれに準じます。
知能が『高い』となっているエネミーは、これらの制限を一切受けずに行動します。
奇襲
時には、敵にまったく気づかない状態で戦闘が開始される場合もあるでしょう。こういった場合、『奇襲』が成立します。
具体的には、『奇襲』を受けた側は最初の1ターンだけ、自分たちの手番での行動を一切行えません。
攻撃に対する【回避力】判定での回避行動など、受動的な行動は可能です。
遠距離攻撃
討伐者は主にヘレティアに侵食された森や、モンスターの巣食う地下迷宮などでの戦いを生業とします。
そのため、見通しのよい長距離で使われる武器は馴染みが薄いものですが、使う機会が皆無ではないでしょう。
遠距離攻撃を行う場合、分類『弓』『矢』となっているアイテムを使用する事になります。
まず最も重要な事として、『弓』『矢』は
戦闘シーンでは使用できません。
本作の戦闘は接近しての乱戦がイメージされているため、純粋な遠距離用の飛び道具は使えたものではないからです。
逆説的に、冒険のさなかにおいては、『弓』『矢』は遠距離からの狙撃や不意打ちのための武器と考えてください。
(投具や魔法は戦闘中でも使用できますが、そのかわり射程距離はせいぜい10m程度です)
『弓』『矢』による遠距離攻撃を行う場合、それが命中するかどうかは【器用】判定を行います。
通常の白兵攻撃であれば、この達成値が攻撃対象の【回避力】判定の達成値を上回れば命中なのですが、
遠距離攻撃の場合、まずそれより先に『狙い通りに射撃できたか』の目標値を達成しなくてはなりません。
具体的には、(攻撃対象までの距離(メートル)÷10)+5がこの目標値となります。
加えて、視界が悪い場合、木々で斜線が切れ切れな場合などは、GM判断でこの目標値はさらに上昇します。
(この目標値を『射撃難易度』とも呼びます)
上記の目標値を達成した後、改めて攻撃対象となった者が攻撃の回避を行います。
攻撃の対象となった者は、白兵攻撃に対する回避行動と同じように【回避力】で判定します。
この回避に失敗して初めて、遠距離攻撃によるダメージ(+追加効果)が与えられます。
強個体
エネミーの中には、一般的な個体よりも強い個体が混じっている場合があります。
メタ的に言えば、既存のデータをボス化する上でちょっと強化している場合がある、という事です。
GMは既存のエネミーデータに対して、【HP】【MP】2倍、【攻撃力】【防御力】【魔力】+1の強化を加えます。
このルールに則って強化したものを、強個体と呼びます。