見えざる闇の手
概要
このシナリオは、GL2〜3程度を対象としています。初期キャラクターでも参加は可能ですが、サンプルシナリオ1に比べると多少難易度が高くなっています。
また、ただ魔物を倒せばいいというわけではなく、少々頭を使うシナリオになっています。
オープニングシーン
PCたちが、街のソルレオン神殿の客間で一堂に介している所から話は始まります。
PCたちがここへ集まったのは、神殿がメンバーを公募していた仕事に対して、何らかのツテで参加しに来たものとしてください。酒場の張り紙や店主経由でもいいですし、神殿に何らかの縁があるキャラクターはその関連でもよいでしょう。
いずれにせよ一同が揃っている所に、神殿の司祭がやってきて事のあらましを話します。
事件が起こっているのは、街から少し離れた場所にある小さな村です。
少し前から、小型の魔物がしばしば村外れに出没するようになったというのがその概要です。またそれと同時期に村人の中から失踪者が発生しており、村人たちは怯えきった日々を送っているというのです。
PCたちが説明を求めれば、失踪した村人は全員が10代〜20代の女性である事が司祭から伝えられます。魔物についての情報も求められれば、【知力】判定をさせても構いません(この際、スキル《怪物知識》があれば有効です)。これで達成値9以上であれば、その魔物とは『テンタクルスワーム』である事がわかります。
事前の情報として得られるのは以上です。
報酬は一人500G.P.が提示され、これをPCが承諾すればオープニングシーンは終了となります。
ミドルシーン
PCたちが村に辿り着いた所からミドルシーンは始まります。
村は一見するとどこにでもある平和な農村ですが、どこか物静かで、村人たちの様子に活気がない事が見て取れます。また、散発的に出没する魔物への対策か、安物の槍や斧で武装した若者たちが数人ほどパトロールしている姿も目にする事ができます。もしPCたちが彼らに物を尋ねるのなら、彼らが村の自警団員である事がわかります。
PCたちの目に見える範囲での主だった施設は、『村長の家』『農地』といった所です。
『村長の家』を訪ねるのなら、ソルレオン神殿からの依頼でやってきたPCたちを村長は歓迎し、快く迎え入れてくれます。
ただし、ここで手に入る情報は限定的なものです。失踪した女性たちの特徴を聞くことなどはできますが、村長は魔物について詳しいわけではないため、決定的な情報は手に入りません。
時系列について尋ねるならば、魔物が最初に現れたのは一ヶ月少々前、最初の失踪者が出たのはその数日後である事がわかります。その後の失踪者が出た日付も村長は把握していますが、最初の失踪から起算して9日後、16日後と法則性はありません。
もし自警団の事についてPCが言及するようならば、自警団はこの事件が起こってから緊急で設立されたものである事も教えてもらえます。また、『自警団長の家』の位置も教えてもらう事ができます。
『事件団長の家』は、使わなくなった古い倉庫を改装したものです。1階は木造家屋になっており、家の裏手には石組みの地下室へと続く階段が設けられています。
自警団長の青年は家におり、話を聞くことができます。
ただし、情報としては村長のものと大差ありません。今まで魔物が現れた位置などを聞けば、それが農地の外れの方である事は教えてもらえます。
もしPCが注意深く家の中の様子を調べるなら、一人分としてはかなり多い量の食料が家の片隅に貯蔵されている事に気づきます。
『農地』では、農作業に従事している村人たちの他、巡回している自警団員がいます。
自警団員に話を聞くと、農地の付近で魔物と遭遇した時の事を教えてもらう事ができますが、テンタクルスワームの特徴や、実際に遭遇した場所を教えてもらえる程度です。
しかし、もし自警団設立の経緯や、魔物が最初に出現した時の事などを聞くのであれば、自警団長の青年がその中心である事を聞けます。彼は二ヶ月ほど前にこの村に引っ越して来たばかりでしたが、武術と魔法の心得があり、突如魔物が現れた時にも先頭に立って対処したという話です。
それがきっかけで、自警団を結成する時に彼がリーダーとなったという経緯です。
ここまでの情報でわかる人にはわかってしまうでしょうが、自警団長がこの事件の犯人です。
彼は実際には人間ではなく《人化》の魔法で人間に化けたノスフェラトゥです。ノスフェラトゥである彼は人間との体液交換を介した生命力の吸収こそが生命維持の手段であるため、この村に寄生して継続的に食料を得られる状況を作り出す事です。また《魔物使役》のスキルを持つ彼は、自身の配下となる魔物も飼育しています。
最初に彼が魔物を倒したというのは、実は自作自演です。倒された魔物は彼の配下の魔物であり、その自作自演を通じて彼は村民からの信頼を得て、疑いの目を逸らそうとしているのです。
PCたちは、女性PCを囮にして魔物を誘い出そうとするか、あるいは自警団長の家の地下室に潜入しようとする事が主に考えられます。
囮作戦に対しては、基本的に反応はありません。魔物たちを操っている自警団長は、神殿の命令で派遣されてきたPCたちはなるべく穏便にやり過ごしたいと考えているからです。
自警団長が家を出ている隙に、または夜間などを狙うなどしてPCたちが地下室に潜入しようとするなら、事態は進展します。
バトルシーン
自警団長宅の地下室は、まず入口に厚い扉に施錠が施されています。これは【器用】で目標値12の判定に成功するか、または《解錠》の魔法などで開ける事ができます。あるいは、自警団長を尾行して、地下室に入っていくところを追跡するというのもひとつの手です。
地下室の中には、テンタクルスワームが6匹、テンタクルスマザーが1匹存在しています。部屋の片隅には失踪していた村の女性たちが鎖に繋がれて転がされており、ワームたちの卵を延々と孕まされ続けています。
PCたちがワームを攻撃しようとすると、(まだその場に現れていなければ)自警団長が異変を察知してその場に現れます。《人化》を解き、計画の全容を語りながらPCたちを攻撃してきます。
彼らと戦闘を行い、勝利できればミッション達成となります。
自警団長を名乗っていたノスフェラトゥのデータは下記の通りです。
自警団長を名乗っていたノスフェラトゥ |
魔物/妖魔 |
人間並み |
食料 |
可能 |
4 |
26 |
7 |
7 |
12 |
6 |
7 |
9 |
7 |
18 |
12 |
所持スキル:《暗黒魔法:初級》《暗黒魔法:中級》《魔物使役》 |
エンディングシーン
エンディングシーンは村長との面会か、または神殿に戻って司祭に事のあらましを報告している所でよいでしょう。
幸いにもヘレティアの侵蝕があったわけではないので、人が魔物化していたりといった被害はありません。被害者の女性たちは最寄りの街のミラ神殿に送られて治療を受け、ある程度のトラウマなどは残るでしょうが、命に別状はない状態で助かります。
PCたちがその顛末を聞いた後、報酬を受け取って、セッション終了となります。
経験点は、順当に行けば、3(ミッション達成)+8(敵の最高GL×2)+5(魔物討伐)=16となります。各々のPCは、ここから(自身のGL×2)を引いた値を獲得経験値としてください。