カルディナ教国
国土面積 ★★ 国家人口 ★★
経済力 ★★ 軍事力 ★★★
治安 ★★★★★ 学術水準 ★★★★
天父信仰 ★★★★★ 地母信仰 ★★
魔物脅威 ★★★ 国際緊張 ★★

カルディナ教国は、フェルサリア北西部に位置する宗教国家です。
天父神信仰を国教と定め、その教義の下、厳格な法治によって秩序を維持しています。

国土はあまり広いとは言えず、その都合上、資源・経済的にも富裕とは言いがたい国ですが、
国民の中における天父神信仰者の割合はフェルサリアにおける全ての国々の中で最も多く、
またその心もおしなべて敬虔である者が多いと言えます。
正義と秩序を重んじる事においては、どの国よりも強い意識を持っていると言えるでしょう。
それが証拠に、極めて治安の良い国でもあります。

一方で、宗教国家ゆえの危うさも孕んでいます。
教皇を頂点に、政治の全てが僧侶たちの手に委ねられているこの国は、政教分離という考えからは程遠く、
神の定めたもうた正義と秩序こそを法の基準としています。
善を成し、己を鍛え、悪を討つ事を美徳とする考えの下に定められる法、行われる政治は、
敢然と魔物に立ち向かうべき人類の規範を示すものではありますが、平時においては少々窮屈であり、
不満を唱える者もいないわけではありません。
また、一部の知恵者からは、杓子定規で融通が利かない事もよく取り上げられます。

地理的には、魔物の軍勢に占領された旧スヴィニア王国跡を南に臨んでおり、
かの地を制圧したオークたちの軍勢による侵略の危機に常に晒されています。
ソルレオン神殿の武僧たちをはじめとした戦力は決して侮れるものではありませんが、
国家の規模があまり大きくない都合上、旧スヴィニア王国跡のオークたちの軍勢から大攻勢を受ければ
おそらくはひとたまりもない事でしょう。
現在、カルディナ教国が存続し続けていられるのは、旧スヴィニア王国跡のオークたちの軍勢に対し、
隣国であるバルハリア連邦が絶えず牽制を続けている事の恩恵が大きいと言えます。

気候は比較的暮らしやすい程度には安定しているものの、やや大気が乾燥しています。
またヴァイスハイトほどではありませんが、比較的北方に位置する国家という事で、秋から冬にかけては
寒い気候に悩まされる年もあります。

そんな土地ですので、家畜として羊の需要が高く、羊毛から作られる衣料が重要な産業となっています。
これは食文化にも影響を及ぼしており、主食としては燕麦を羊乳で煮て蜂蜜を混ぜたオートミールか
茹でたジャガイモにバターを塗ったものが庶民の間でも一般的です。
加えて羊乳から作られるチーズ、塩焼きしたラム肉料理といったラインナップに、
硬い土にもよく根付く根菜の類がサラダとして付いて来るものが、カルディナ料理という言葉から
真っ先に連想されるものです。
全体的に味付けはシンプルにまとまっており、それでいて栄養のバランスは良いと言えるでしょう。
パンも珍しくない程度には食卓に並びますが、オートミールの方がより高い頻度で作られるのは、
空気が乾燥しているため、オーブンからしばしば火災が発生する事を忌避してのもののようです。

聖都カフヴァール

聖なる都と呼ばれる街カフヴァールは、カルディナ教国の首都となっている都市です。
人口は2万人あまりで、他国の首都に比べるとやや小規模な都市と言えます。

この街は首都でありながら、王城という物を持ちません。
代わりに、天父神ソルレオンを奉じる大神殿が王城の代わりの役目を果たしています。
(警察施設としては、街中にいくつかの分神殿が建っています)
ソルレオン信仰の最高位の聖職者である教皇が国家元首を兼任し、王城代わりの大神殿には
純粋な軍人である兵士と、天父神信仰の僧兵たちが混在して警護にあたっており、また多くの文官は
天父神信仰の司祭でもあるという、一見すると混沌とした状態になっています。
もっとも、それは外見上だけの事であって、彼らは規律に基づき各々の領分を明確に線引きして
日々の仕事をこなしています。

街の南側外周は農地となっており、ここでの収穫によって食料の大部分を自給していますが、
その大半は大麦やジャガイモなど、安価で、乾いた土地にも根付きやすい質素なものが大半です。
高級な食品や嗜好品などは大半を輸入に頼っています。

天空の大聖堂

カルディナ教国で最も高い山、最も天空に近い場所に建立された大聖堂です。
カルディナ教国における天父神殿の中で最も尊い施設とされ、代々の教皇はこの地で洗礼の儀式を経て
神の名の下に王権を預かるものとされています。

その場所は標高にして1000mを軽く越えるため、教皇となる人物の体力や年齢によっては厳しい試練ですが
現在でも形骸化する事なく、その習慣は続けられています。
教皇の介添人としても、最低でも司教以上の位階を持つ聖職者でなければ立ち入れない聖地とされており、
その実体を直接見た事のある者がそもそもほとんどいない施設なのですが、ある者が語るには、
筆舌に尽くしがたい壮麗な神殿であったと伝えられています。

また、現在でも途絶える事なく続いている前述の厳しい風習から考えるに、この地へ赴くという事は
単純に習慣的な儀式ではなく、何らかの魔法的な効果があるのではないかと推測する者もいるようです。

聖堂騎士

カルディナ教国では、男性のヴァルキリーズ・チルドレンに"聖堂騎士"の称号をしばしば与えます。
これは、神殿に所属して魔物の討伐を行う男性ヴァルキリーズ・チルドレンに対して、
神殿に所属する事の見返りとして、何らかの支援を約束する制度だと言えます。
具体的には、資金援助や優先的な情報提供、従者となるヴァルキリーズ・チルドレンの帯同などです。

もともとヴァルキリーズ・チルドレンは圧倒的に女性が多数なのですが、まれに男性も存在します。
カルディナ教国において、まれに生ずるこの男性のヴァルキリーズ・チルドレンを優遇しているのは、
ひとつには、教義上の問題が挙げられます。
もともとフェルサリアの僧侶は、かつて肉体を持っていた頃の神の意志を継いで遂行する者たちであり、
その手段として己の心身を鍛え、神威魔法を振るう存在ですが、それゆえ神の行いをなぞろうとします。
未だ魔物たちの脅威が消えないこの世界において、魔を討ち人々を守るに相応しい存在とは、
かつて邪悪な魔物たちに対して先頭に立って敢然と戦った天父神ソルレオンもそうであったように、
屈強なる"男"であるべし、との考えが未だに根強く残っている事によります。
"聖堂騎士"に叙せられた男性ヴァルキリーズ・チルドレンは、討伐者としての活動を行うにあたり、
神殿の仲介によって1〜3名程度の従者を与えられる事が頻繁に見られます。
討伐者としての従者である以上、それは基本的には女性のヴァルキリーズ・チルドレンとなります。

もうひとつの理由としては、次代を担う人材の確保という面もあります。
ヴァルキリーズ・チルドレンの子供はヴァルキリーズ・チルドレンとして生まれてくる可能性が高いため、
聖堂騎士とその従者の間に子が設けられれば、それは神殿にとって高確率で十数年後の戦力となります。
神殿はそれを狙って、聖堂騎士の妻候補として従者となるヴァルキリーズ・チルドレンをあてがうのです。