エネミー作成・運用指針

 ヒロピンを嗜む方がGMをするならば、理想の敵、自己を投影した竿役、性癖を詰め込んだ変態個性的なエネミーを作りたくもなるでしょう。
 そこで、ここでは階級別のオリジナルエネミーの作成と運用に関する指針をお伝えしておきます。
♟ポーン級♟
数を頼み、道を遮る異形の雑兵

 基本的にはワンパンで倒されるザコと考えましょう。
 【HP】2〜3程度が好ましいです。こうする事で「アタック5前後のキャラなら半々の確率でワンパンできる程度の耐久力」になります。
 肉壁役に特化させるなら【HP】4ぐらいまではあってもいいですが、耐久性としてはこのあたりが上限でしょう。

 基本、やられ役です。
 何かまともに仕事をさせようと思うなら、3体程度の頭数を出す運用にするか、耐久力と引き換えに【スピード】を3〜4程度まで持って、"遅いヒロインには先手が取れる"ぐらいを目指すとよいでしょう。
 「2〜3匹出して、最終的に1回ダメージ与えられるか、状態異常ひとつ入れられたら御の字」ぐらいの階級です。
 したがって、【HP】2〜3、【アタック】【スピード】【アーマー】は通常高くとも3、よほど特化型でも4程度が無難です。その上で特殊能力で個性づけしましょう。
 《弱点:●》の特殊能力で、ワンパンで倒せるザコ感を出して、前座のかませとしてバタバタ倒せるように調整するのもよいでしょう。
♜ルーク級♜
雑兵とは一線を画す、油断ならない邪悪の強兵

 この階級は「ちょっと強めのザコ敵」「弱めの中ボス」ぐらいのポジションです。
 具体的には2〜3回の攻撃で倒される程度の耐久力を基準とします。「殴られて、殴り返して、殴られて倒される」ぐらいの運用により、
  - 通常、ヒロインが1対1でこいつらに負ける事はそうそうない
  - とはいえ、無傷で倒せるほど容易い相手でもない
  - ある程度の損害を与えた上で、必要以上にダラダラと戦闘を長引かせず退場する
 というのが基本的な立ち位置となります。
 (もちろん、耐久型のルークであれば、もう少し打たれ強くても良いでしょう)

 能力値としては【HP】6〜8、【アタック】【スピード】【アーマー】は通常3〜5、特化分野であれば6ぐらいが目安になります。
 こうすると、おおむねポーン2〜3匹でルーク1匹、ルーク3匹でナイト1匹程度の戦力になります。
 (範囲攻撃の有無や属性などなど、ヒロイン側のビルドとの相性はもちろんありますが)
 したがって、初期作成状態のヒロイン1人相手の場合、前哨戦程度の戦闘としてならポーン1〜2匹を従えた中ボス、ボス戦であればナイトのお供として1匹程度つけてもよいでしょう。
 「ちょっと強めのザコ」だからとて、頭数を出すと想像以上に強かったりする事があります。
♞ナイト級♞
正義の使徒を迎え撃ち、討ち倒し得る魔の精鋭

 ナイトは基本的に、ヒロインPC1人相手のシナリオにおけるボス運用を想定した階級です。
 そのため、この階級から、火力型のクライシスブレイクにギリ耐えられるかどうか、程度まで【HP】が跳ね上がります。
 基準として、【HP】は20〜30程度必要です。

 ナイトにとって地味に大切なのは、複数回の攻撃手段を持つことです。
 と言うのも、ヒロインクライシスのPCは、【AP】が残っている部位数に等しい回数だけ、どんな特大ダメージでも耐える事ができます。
 また、《アヴォイド》《フルガード》といったスキルは、自己デバフによる使用回数制限はあるものの、自己バフと組み合わせるとかなりのダメージを打ち消す事もできます。
 そのため、攻撃回数1回で、ただ【アタック】を高くしただけのエネミーは、ある程度効率を考えてビルドしたヒロインには完封されてしまう事がしばしばあります。
 ヒロインは単発高火力に対しては額面の数値より打たれ強く、中火力の複数回攻撃にはわりと脆い。これはオリジナルエネミーを作るなら鉄則として覚えておいてください。
 一番簡単なのはシンプルに複数回攻撃する特殊能力を持たせる事ですが、特殊能力がそれぞれ異なる複数の部位を持つエネミーにすると、より駆け引きの楽しい戦闘を演出できるでしょう。
 あるいは反撃系の特殊能力で疑似的な攻撃回数を増やしてもいいかもしれません。

 これらを鑑みると、ナイトの【アタック】【スピード】【アーマー】は通常4〜7、特化分野で8と、ルークより一回り高い程度にとどめておくのが良く、その代わり複数回攻撃手段(ないし《浸透撃》か類似のオリジナル特殊能力)を持たせておくのがよいでしょう。
 こうすると簡単には完封されず、ある程度ヒロインを効率的にひん剥いて追い詰められるボスエネミーになります。
 勿論、特殊能力をガン盛りする場合はもう少し能力値を下げてもいいですし、部位も含めて1ターンに4回以上の攻撃回数があるなら【アタック】は少し加減した方がいいでしょう。
♝ビショップ級♝
魔の軍勢を率いる冷酷なる将

 基本的にヒロイン2人相手のシナリオボスとして登場させる事を想定した階級です。
 そのため単純に、【HP】はナイトの1.5〜2倍程度必要です。35〜50ぐらいが基準になるでしょう。
 他の能力値もナイトより一回り高いのが好ましいですが、
  - 【アタック】を過剰に上げても、部位【AP】の恩恵で無駄に終わる事が多い
  - 【スピード】を上げすぎると、スピード型のヒロインにとっては強みをまったく活かせない塩試合になる
  - 【アーマー】を上げすぎるとデバフがまったく入らなくて、デバフ役としては面白くない(《アーマーメルト》で対策は可能)
 …という問題があるため、闇雲に能力値をガン盛りするのはプレイフィール上おすすめできません。

 【アタック】【スピード】【アーマー】をむやみに高くするより、特殊能力を盛る方が面白いボスになります。
 シンプルに、ナイトの【HP】を2倍にして、攻撃の手数をひとつ増やすだけでもお手軽に強ボスにする事が可能です。
♛クイーン級♛
強大な力とカリスマ性を持つ悪の帝王

 この階級になると、通常の単発セッションでの運用は想定されていません。
 長期キャンペーンのラスボスとかそのあたりの階級です。
 すると当然に、相対するヒロインは事前に決まっている事がほとんどでしょうから、ヒロインに対するメタ対策も込みで好きに強くしましょう。

 ここまで来ると、もはや個別運用の世界なので、強さの基準はあってないようなものです。
 あなたの卓のラスボスに相応しい強さの敵を用意しましょう。
♚キング級♚
まさに生きた災厄、斃すこと能わぬ不可侵の暗黒

 キング級は、「負けてはいけない階級」です。
 ヒロインクライシスが"ヒロピンTRPG"である以上、あらゆるヒロインには敗北凌辱のリスクがあるべきであり、PLも負けてやられを楽しむ人が圧倒的多数派でしょう。
 然るに、"どんなヒロインでも負けてしまう悪役"は必要なのです。それがキング級です。

 それこそ小学生がRPGツクールで作った裏ボスのノリでいいです。雑なハメ技もどんとこい。
 とにかくキングは「自キャラを負けさせたい」というPL要望に100%応えられる事こそが存在意義なので、加減してはなりません。
 心の中の小学生ツクラーを解き放って、雑に強いボスを作りましょう。